どこの家庭でも一台ぐらいは眠っている(?)ATX用電源を利用して、実験用の電源を作りました。(製作期間:2007年12月24日〜2008年1月3日)
PCを自作している方なら、たいてい1回か2回は電源のアップグレードを行っているのではないでしょうか?しかし、アップグレード前に使用していた電源は、どうしていますか?別のサブマシンに転用したり、オークションで売り払ったり、粗大ごみとして捨てたり・・・?私の場合には捨てることもできずに、部屋に転がしてある電源が1台、2台、とだんだん増えています。
そんなとき、実験のために±5Vの電源が必要になったので、見捨てられているATX電源を利用して、実験用電源を作ることにしました。
まずは仕様ですが、手持ちの電源の出力構成と、よく使いそうな電源電圧を考慮して、
・ +3.3V 1系統
・ +5V 2系統
・ +12V 2系統
・ −5V 1系統
・ −12V 1系統
を出力することにします。
設計といっても、基本的にはATX電源から出ている電源コードに中継用のコネクタを接続して、実験に便利なように陸軍端子に引き出し、電源スイッチを取り付けるだけです。ATX電源の寸法やピン配置などは、Intel社が発行している仕様書に細かく規定されています。ネットで検索すると、いろいろなところに見つかりますが、私は、「formfactor.org」でATX version2.2の仕様書をみつけて、参考にしました。
ピン配置などがわかってしまえば、あとはケースの設計だけになります。使用したケースはリードのPS-5 (W x H x D: 220 x 90 x 170) というものを使用しましたが、これは失敗。寸法がぎりぎりで、出力用の電源端子の配置に苦労した上に、写真のように、配線の取り回しも大変でした。なんとか納まっていますが、エアフローも悪そうです。使用するATX電源によっては、納まりきらないものもあるかも知れません。もう一回り大きなケースが良かったようです。
前面パネル、背面パネルの設計(作図)はMicrosoft Powerpointで行いました。Powerpointで「ルーラー」の表示をさせると、ある程度の精度で実寸大の作図ができます。これで穴あけ用の型紙を作ると同時に、前面パネルのデザインを作成し、糊つきのフィルムシートに印刷してパネルに貼り付けています。参考として私が使用したPowerpointファイルをアップしておきます(ここ)。アップしたファイルでは、パネル面の色が灰色になっていますが、実際にはヘアラインのテクスチャーを使用しました。ネットから拾ったテクスチャーなので、アップしたファイルには使っていません。
まずは、(苦手な)ケースの加工からです。Powerpointで作図した型紙を貼り付けて、ポイントポイントに錐やセンターポンチで印をつけてから穴あけします。
背面パネル加工 |
前面パネル加工 |
前面パネル化粧シート |
前面パネルにはパワーポイントで作成した化粧シートを糊つきフィルムシートに印刷したものを切り抜いて貼り付けます。貼り付ける際に気泡が入らないように神経を使います。苦労のわりには、どうしても気泡が残ってしまいます。ここは経験を積み重ねないとダメかも。
つぎは、ATX電源の出力コネクタに接続する中継コネクタ部分の加工です。単にビニル線を半田付けすればよいだけですが、受け側のコネクタは基本的に基板取り付けようなので、半田付け部分がむき出しになってしまいます。そこで、半田付け部分は熱収縮チューブで絶縁しておきます。
半田付け部分を絶縁 |
使わないコネクタを絶縁 |
写真で見ると、配線していないピンにも熱収縮チューブが被せてあるのがわかると思います。ケースなどとのショートを防ぐために、コネクタの両端と、適当な空きピンにも短いビニル線をつけて、絶縁だけしてあります。また、使っていない出力コネクタが、どこかに接触してショートすることを防ぐため、使わないコネクタには太めの熱収縮チューブを被せて絶縁しておきます。
あとは、前面パネルの陸軍端子とスイッチに接続して、配線をケースに押し込めば(!)完成です。ATX電源からはたくさん出力線が出ていますので、ケースが小さいと押し込むのも大変です。写真のとおり無理やり押し込んであります(いらない線を切り取ってしまえばいいのに・・・ATX電源として完全な姿で使いたかったので、切り取りませんでした)。
しまった!ここまで来てから、動作表示用のLEDを付けるのを忘れたのに気がつきました(涙)。まあ付けるスペースもないし、いいことにしようか。ということで、電源の動作確認は、背面のFANのところに手を当てて、風が出ているかどうかで判断しています。FANの風きり音で動作がわかるかと思ったのですが、古い電源にもかかわらず、意外に静音電源で、音はほとんど聞こえませんでした。
これで+5V30A、+3.3V14Aまで心置きなく実験ができるようになりました(何の実験じゃぁ?)
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